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【寿命】
ギヤードモータ(モータ)の寿命は、負荷条件、動作モード、制御方法、使用環境によって大きく異なりますので実機動作確認を十分に行って下さい。以下の項目は寿命に悪影響を及ぼしますので、ご使用の際にはご確認願います。
- 定格許容トルクを超えた負荷での使用(過負荷駆動)
- 頻繁な起動運転の繰り返し
- 正逆の瞬時反転駆動
- 衝撃荷重
- 長時間の連続運転 ※
- 過大なオーバーハング荷重やスラスト荷重
- ショートブレーキ、逆起電流、PWM制御等のパルス駆動
- 定格電圧に対して規格外での電圧使用(通常±10%以内)
- 低電圧又はPWM制御による軽負荷-低回転駆動
- 使用温度範囲、湿度範囲を超えた使用、有害なガスや特殊環境での使用
※ ギヤヘッドは断続運転が基本であり、十分な停止時間が必要です。連続運転が主となるご用途では軸受構造やグリスの変更等の配慮が必要となります。ご相談願います。
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【PWM制御に関する注意】
コンデンサー付き(内蔵含む)モータをPWM制御する場合、周波数によって過電流が流れる事があります。
本制御にてご使用される場合はバリスター内蔵モータをご使用頂くか、周波数特性を確認の上、十分に評価してご使用下さい。 -
【実装評価に関する注意】
寿命、騒音、振動は取付ける装置により変化しますので、実装してご確認をお願い致します。
出力軸にラジアル、スラスト荷重が大きく掛かる機構については、実機にて受けを検討願います。
また、出力軸に長い部品を取り付ける際には片持ち支持は避けて頂くようにお願い致します。 -
【出力軸への取付け及び追加工に関する注意】
- 接着剤を使用する場合は、接着剤が軸受部及びギヤヘッド(モータ)内に流入しないように注意して下さい。
- ギヤヘッドの出力軸に部品を圧入する事は内部破損の原因になりますので避けて下さい。
- ギヤヘッドの出力軸に追加工を施すことは、加工時の荷重、衝撃、振動によりギヤードモータが破損する場合が有りますので避けて下さい。
- 切削粉等が内部に入り込まないように十分注意をして下さい。
- モータシャフトへの圧入の際は、シャフト後部のみを押すようにして下さい。
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【取付けに関する注意】
外観図記載の取付用タップの有効長深さを確認し、適正なネジを選定して下さい。
ネジが長過ぎたり締付トルクが過大であると、取付け部やネジの変形、破損により不具合が生じる場合が有ります。
また、ネジが短過ぎたり締付トルクが弱過ぎるとネジ緩みや脱落の原因になりますので注意願いいます。 -
【取付け姿勢に関する注意】
標準取付姿勢は弊社出荷検査姿勢である水平方向を推奨しています。
その他の姿勢で使用する場合、グリースがギヤードモータ外部に漏れたり負荷が変化し水平方向と比べ特性が変化することがありますので予めご注意願います。
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【グリース、オイルに関する注意と軸受の取扱いに関する注意】
特殊な環境下、取付姿勢によってはギヤヘッドのグリースやオイルが外部に漏れる可能性がありますので注意して下さい。
また、装置にグリースやオイルが付着すると材質によってはケミカルアタック等の異常が発生する場合がありますので予めご確認をお願い致します。(特に樹脂部品の場合)
ギヤヘッドやモータには含油軸受が使用されている製品があります。軸受内部の油が吸い取られる様な環境下でのご使用は避けて下さい。 -
【モータ端子部に関する注意】
モータ端子に無理な力を加えると、モータ内部に応力がかかり内部破損や不具合の原因になります。
また、半田作業は短時間に行って下さい。(推奨:半田コテ先温度380±20℃ 2秒以内)
必要以上の熱を加えますと構成部品の溶解や内部破損の原因になります。
半田作業の際には、半田ボールやフラックスがモータ内部に入らないように十分注意をして下さい。 -
【ハーネスのコネクター部に関する注意】
ギヤードモータに通電した状態でコネクターの抜き差しを行うことは避けて下さい。
抜き差しを行う場合は、リード線やモータ端子に応力が加わらないようにコネクター本体を持って行って下さい。 -
【出力軸からの回転及びロックに関する注意】
ギヤードモータを出力軸側から回転させないで下さい。歯倒れ等のギヤヘッド内部破損の原因になります。
また、モータが発電し装置内の電子機器に悪影響を及ぼす場合が有ります。ギヤードモータに通電した状態で出力軸をロック(拘束)させないで下さい。短時間のロックでもギヤヘッド内の衝撃破損及びモータの焼損の要因となります。
フィルタや帳票の搬送駆動などの装置の場合…詰まり解消の為に出力軸からの回転が想定されたり、機構的に過負荷やロックが発生する場合は、「トルクリミッタ」の装着をお薦めします。 -
【安全確保に関する注意】
ギヤードモータ及び装置の故障による人体障害や火災を予防する為に、ヒューズや復帰性電流保護素子等の保護回路を設け安全確保をお願い致します。
※復帰性電流保護素子:例 起動電流≦2A…ポジスタ、それ以上…ポリスイッチ
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【使用温度範囲】
-10℃~+60℃の範囲内でご使用下さい。カタログに記載してある値は室温(約20℃~25℃)です。
範囲外でのご使用はギヤヘッド内のグリースが正常に機能しなかったり、モータの起動が出来なくなります。
温度条件によっては、グリースや部品の変更により対応出来ますのでご相談願います。
環境温度は、モータのマグネットの磁力と巻線抵抗に影響を及ぼします。
高温の場合、減磁及び巻線抵抗変化によりトルクと電流が低くなり起動トルクが大幅に減少します。
回転数は逆比例して増加します。低温の場合、軸受オイルの粘度変化や部品膨張により回転が阻害されると共に、
巻線抵抗変化により電流が高くなり回転数は低下する傾向となります。 -
【保存温度範囲/相対湿度範囲】
-15℃~+65℃、20%~85%RH(結露無きこと)の範囲内で保存下さい。
多湿環境においては金属部品に錆が発生し異常をきたす恐れが有りますので、適切な環境での保存をお奨め致します。 -
【ご使用雰囲気/保管に関する注意】
有害なガスを発生させる物質が存在する場所での使用は避けて下さい。特にシリコン製品に含まれる低分子シリコン化合物はモータ内部の接点障害に結びつきますので注意が必要です。
また、装置内で接着剤やシール材を使用する場合、有害なガス等を発生しないことを十分に確認して下さい。
高温、低温、多湿 及び腐食性ガスの雰囲気中での保管は避けて下さい。また、2年以上の長期保管品の使用は避けて下さい。 -
【不具合品調査依頼時の注意】
不具合品については分解せず、使用条件、不具合発生日時、不具合事象を明確にして弊社へご依頼願います。
また、万一落下させてしまった製品についてはご使用を避けて下さい。 -
【仕様変更について】
環境対応や供給の状況により部品や仕様を余儀なく変更することが御座いますので予めご了承願います。
上記条件以外でご使用される際には、当社営業までお気軽にご相談願います。
DCモータ及びギヤードモータの取扱注意事項について
DCモータ性能特性図の見方について
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DCモータは電圧が一定の時、T-N及びT-I特性は上記のように2本の直線で表すことが出来ます。
N0/I0/Ts/Isは4点性能と呼ばれ、個々にモータの性能を特徴付ける性能となります。
基本的に定格トルクは、最高効率のトルクよりやや低い値とします。この時の回転数を定格回転数(Nr)電流値を定格電流(Ir)と定め規格値を設定します。よって、試作モータを実機装置にて駆動させて端子間の電流値を測定すれば電流値から実機装置の負荷状態を読み取ることが可能となります。
負荷状態が概ね定格トルク以内であるDCモータの選定が望ましいこととなります。
※ギヤードモータの場合は、ギヤヘッドの定格許容トルク範囲内 且つモータの定格電流値未満であることが期待寿命を長くお求めになる場合のポイントとなります。
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【 PWM制御 (Pulse Width modulation Method:パルス幅変調方式)のデメリット面について】
DCブラシ付きモータは、機械的回転摩耗とブラシ-整流子間の電気的スパーク摩耗にてブラシ&整流子が磨耗しながら 駆動し寿命に至るメカニズムで御座います。
PWM制御は電圧をパルス印加して速度制御を行う制御の一つですが、起動電流がパルス状に流れます為、スパーク摩耗が著しく促進しますのでブラシ&整流子の寿命が短くなる傾向です。低回転の速度制御の場合、ブラシ&整流子の摩耗粉が回転で飛散されずクリーニング作用が滞り、堆積した不完全燃焼の摩耗粉が整流子溝に目詰まりして回転障害が発生することが有りますのでご留意願います。
必要サイクル数の実機耐久試験にて異常動作の有無を確認頂き、当社にお送り頂けましたらモータの内部調査を致しますのでご相談願います。